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小説の館。

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小説の館。へようこそ。 ここは、ジャンル関係なしで、小説をどんどん載せていっていい場所です。 〜小説は人の心を豊かにする〜 をモットーし美しい小説を作り上げていきましょう。
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小説の館。の記事

1件〜100件

  • 歴史チップス2022年4月号隆景味
    2022/05/15 11:00
    歴史チップス2022年4月号隆景味

    ━━━┃━┃━┃━━━━━━━━━━━━┃━┃━┃━━━★◇☆☆★◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆◇★◇☆☆◇★◇☆  ~ 月刊・歴史チ...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい
    2021/12/20 15:09
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい

    結婚式のあと、ウィンザー公爵家の若夫妻となったリチャードとシャーロットは、しばらく領地で過ごしてから王都のタウンハウスに戻った。この地で、この家で、これから二人の新たな日常が始まるのだ——。「数日したら非番だから、そのときは二人で街に遊びに行こう」結婚休暇を終え、久しぶりに騎士団の仕事に出かけようというところで、リチャードは見送りのシャーロットにそう言った。唐突だったせいか、彼女はすこし驚いたように目をぱちくりとさせる。「お仕事のほうはよろしいのですか?」「ああ……」タウンハウスに戻ってからの三日間は、不在時にたまった書類などを処理するのに必死で、とても遊びに行くどころではなかった。だが、もうあらかた片付いたので一日くらいなら問題ない。「急ぎの面倒な案件さえ来なければな」「ふふっ、では祈っておきますね」シャーロ...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編公爵家の次期当主は愛する新妻とデートしたい

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい
    2021/11/03 23:55
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい

    「おまえ、来週末から里帰りするんだってな」文官のアーサー・グレイが王宮にある事務室で書類仕事をこなしていると、騎士団所属のリチャード・ウィンザーがいつものようにふらりとやって来て、締まりのない笑顔でそんなことを言う。こう見えて彼は公爵家の嫡男である。おそらくいずれ爵位を継ぐのだろうが、にもかかわらず騎士という危険な職業に就き、二十代後半になるのにいまだに結婚もせず自由にしているのだ。そんな彼に思うところはありつつも嫌いになれない。アーサーにとってはパブリックスクール時代の同級生であり、誘拐された娘を救出してくれた恩人でもあり、いまは友人とも呼べる間柄だ。ただ——彼のほうは、どうやら友情以上の感情を持っているらしいのだ。あまりにも態度がわかりやすくて周囲はだいたい察しているのだが、それでも本人は何も言おうとしない...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編伯爵家の次期当主はすこしだけ恩人の恋心に報いたい

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい
    2021/10/01 01:09
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編 騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい

    「シャーロット!!!」アレックス・グレイは見晴らしのいいところに立つ大樹を見上げて、大きく手を振った。その先には、立派な枝に腰掛けているシャーロット・グレイがいる。彼女はひらひらと手を振り返すと、軽やかな身のこなしで幹を伝って芝生に降り立ち、ふわりと愛らしい笑顔を見せた。「久しぶりね」「うん、元気そうでよかった」「しばらくこっちにいるの?」「二週間くらいかな」アレックスはエヘヘと笑い、半年ぶりの再会となった彼女にあらためて目を向ける。以前に会ったときはすこし見上げるような感じだったのに、いつのまにか同じくらいの高さになっていた。アレックスは、昔からずっとシャーロットのことが好きだった。二歳上のいとこである彼女とは、まだ物心もつかないくらい幼いころから交流があり、だいたい週に一度は弟とともに家に遊びに行っていた。...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」番外編騎士志望の少年はいとこの少女を幸せにしたい

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ 〜 公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい
    2021/08/26 23:20
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ 〜 公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい

    宴が一段落すると、シャーロットは夫のリチャードとともに引き上げた。すぐに侍女の手を借りながら湯浴みをして寝衣に着替える。公爵家が用意したそれは膝下丈のゆるりとしたドレスで、薄地のシルクながらも身頃の透け感はそれほどなく、繊細なレースやフリルがあしらわれた上品で可愛らしいものだ。「若奥様、緊張なさってますか?」「平気よ」気遣わしげな侍女にニッコリと微笑んでみせる。さすがにこういう状況なのですこし緊張しているものの、落ち着いてはいると思う。ただ若奥様と呼ばれることにはまだ慣れておらず、何となくむず痒いような気持ちになってしまった。「行ってくるわ」そう言い置き、侍女に見送られつつ寝室へつづく扉を開ける。明るい——。てっきり薄暗くなっているものとばかり思っていたが、普通に灯りがついていた。寝台にはリチャードがひとりで腰...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」エピローグ〜公爵家の幼妻は旦那様と仲良くしたい

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話 伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない (前編)
    2021/07/23 22:21
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話 伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない (前編)

    アーサー・グレイは、同級生のリチャード・ウィンザーが嫌いだった。彼はウィンザー公爵家の嫡男である。公爵家というのは王家に連なる血筋で、他の貴族とはいささか性質や役割が異なっている。国が安泰であるためには、公爵家が安泰であることが重要になってくるのだ。それゆえに責任が重い。なのに彼はその責任を軽視している。公爵家の人間ともなれば公の場に出ることも多いのだが、彼はごくたまにしか姿を現さない。未成年のうちだけならまだしも十六歳で成人になってもだ。それはすべて彼個人のわがままだという。学業においても真摯に取り組んでいる姿勢が見えない。自主的に勉強している様子はなく、授業中でもぼんやりと窓の外を眺めていることが多い。ときには目をつむって微睡んでいることさえある。「いまは自習の時間だ。居眠りをしていいわけじゃない」「んだよ...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第5話伯爵家の堅物当主は元同級生から離れられない(前編)

  • 歴史チップス2021年7月号強行味
    2021/07/05 13:39
    歴史チップス2021年7月号強行味

    ━━━┃━┃━┃━━━━━━━━━━━━┃━┃━┃━━━★◇☆☆★◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆◇★◇☆☆◇★◇☆  ~ 月刊・歴史チ...

  • 歴史チップス2021年5月号貨幣味
    2021/06/07 14:32
    歴史チップス2021年5月号貨幣味

    ━━━┃━┃━┃━━━━━━━━━━━━┃━┃━┃━━━★◇☆☆★◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆◇★◇☆☆◇★◇☆  ~ 月刊・歴史チ...

  • 歴史チップス2021年6月号印度味
    2021/06/07 14:32
    歴史チップス2021年6月号印度味

    ━━━┃━┃━┃━━━━━━━━━━━━┃━┃━┃━━━★◇☆☆★◇☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆◇☆◇★◇☆☆◇★◇☆  ~ 月刊・歴史チ...

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない
    2021/05/10 17:59
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話 侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない

    「ジョン、服を脱げ」豪奢な椅子にゆったりと座している美しい男性が、尊大に命じる。その正面に立たされていた八歳のジョンはビクリとして固まるが、すぐ後ろに控えている叔父夫妻に脱ぎなさいと促されて、おどおどしながらシャツ、ズボン、靴下とひとつずつ脱いでいく。やがてパンツ一枚になった。恥ずかしいというより、何をさせられているのだろうという不安のほうが大きかった。うつむき加減のままチラリと視線だけを前に向けると、彼は冷ややかに言い放つ。「下着もだ」言い知れない恐怖にぞわぞわと肌が粟立った。それでも叔父に早く脱ぎなさいと言われると逆らえなかった。全身にまとわりつくような視線から逃げるように目を伏せ、いつのまにか小さく震えていた手をおずおずとパンツにかけた。ジョン・グラミスは、貴族とは名ばかりの貧乏男爵家に生まれた。領地も持...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第4話侯爵家の気弱な従僕は先輩侍女に逆らえない

  • inkrich「誰でも」と「簡単」と「更新」を3つ集めて合体させて『inkrich』を作りたいんですよぉ〜
  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない
    2021/03/12 20:17
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話 侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない

    そのときまで、ロゼリアは世界でたったひとりのお姫さまだった。貴族の中でも裕福なクレランス侯爵家に生まれ、蝶よ花よと育てられ、いつどんなときもロゼリアを中心に世界がまわっていた。そして、それをあたりまえのこととして享受していた。けれど——。それは、五歳になってまもないころのことだった。ロゼリアは両親に連れられて初めてパーティに行った。敷地外に出るのも初めてだったので、馬車から見える光景にわくわくしていたが、会場に入るや否やひどくショックを受けた。どうして——。そこには時間をかけて準備したロゼリアと同じように、あるいはそれ以上に、きらびやかに着飾った女の子があちこちにいた。すこし年上の子はきらきらとしたアクセサリまでつけている。まわりの大人たちはロゼリアのことを褒めてくれるけれど、彼女たちも褒めている。そして両親ま...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第3話侯爵家の強がり夫人は元婚約者を忘れられない

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (後編)
    2021/02/17 00:33
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (後編)

    カーディフの街に到着したのは予定どおり夜だった。ここからほど近いグレイ伯爵家にはあした向かうつもりである。今日のところは馬を預けて大通りの宿に泊まった。執事二人は隣の部屋だが、寝るとき以外はリチャードの部屋に居座った。「本当にグレイ伯爵家に行くんですか?」「あたりまえだろう」翌朝、宿の近くにあるカフェで執事二人と朝食をとった。彼らはいまだにグレイ伯爵家に行くことに難色を示している。失礼になるとか迷惑になるとかで。ここに来るまでの道中でもさんざん引き留められたのだが、気持ちは変わらなかった。「さあ、そろそろ準備をして行くぞ……ん?」カフェを出て、着替えるためにいったん宿に戻ろうとしたそのとき——向かいを軽やかに歩く少女が目に留まった。すこし距離があり顔もはっきりとは見えなかったが、それでも見紛うはずがない。「あの...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい(後編)

  • 「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (前編)
    2021/02/16 14:24
    「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話 公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい (前編)

    俺って本当に信用ないな——。雲ひとつない穏やかな青空の下、ウィンザー公爵家の嫡男であり王都の騎士団長でもあるリチャードは、殊更美しい白馬に乗ったままチラリと後ろを振り返ると、その光景にあらためて嘆息した。二人の執事が、それぞれ栗毛の馬を駆って着いてきている。来なくていい、その必要はない、むしろ来るなと言い渡したにもかかわらず、二人は旦那様の命令ですからと聞く耳を持たなかった。雇い主は父であるウィンザー公爵なのだから致し方ない。この二人は腕が立つので、護衛としての役割を求められることも少なくないが、今回はお目付役としてついてきているのだろう。必ずリチャードを連れ帰るように厳命されたと聞いている。しかし、リチャードにはもとよりすっぽかす気などない。自身が十年ものあいだひそかに待ち望んでいたことなのだ。だからこそ待ち...「伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい」第2話公爵家の騎士団長は一目惚れの少女と結婚したい(前編)

  • アパルトマンで見る夢は 1 椅子
    2020/12/31 10:08
    アパルトマンで見る夢は 1 椅子

      白髪頭の監督は、お辞儀をするように下を向き、その顔を両手で隠した。 体が前へ傾いたことで、彼の座っていたパイプ椅子が、キィ……と小さな音を立てた。 静まり返った広い部屋に、その音だけが通って聞こえた。 数秒後に、ピタピタ、と、裸足の足音が近寄ってきた。 自分のすぐ正面で止まるのを、監督は闇の中で感じ取った。 両手をそっと顔から下ろして、目を開くと、白くて細い足が二本、キレイに揃っているのが見えた...

  • 稲妻トリップ 1 さっき……
    2020/12/31 10:06
    稲妻トリップ 1 さっき……

      高架下の水面(みなも)に、街灯の明かりが落ちて揺れていた。 淡いオレンジ色の光と、薄暗い夜の青さが入り混じる。 俯いた顔に冷たい風が吹きつける。 ほんのりと、潮の香りを運んでくる。 車のライトが背中で輝き、速いスピードで過ぎ去った。 毎日見ている。 足を止めて、橋の上から。 そこは、道路を仕切る白線の中。 深夜になると、交通も少ない。 誰にも入ってきてほしくないの。 ただ一人で、私は海を眺める...

  • ソレイユの森 1 シュー教授
    2020/12/30 10:33
    ソレイユの森 1 シュー教授

      大学の研究室で教授を務めていたしゅういちは、漢字で「周一」と書く。 同僚や教え子たちは、親しみを込めて「いち」を伸ばす発音にし、「シュー教授」と呼ぶことにしていた。 歳は四十過ぎ。毛量は多いけれど、白髪を染めないので老けて見える。 しかし性格は明るく、人当たりも優しかった。 生徒の勉強を、その子が解かるまで親身になって指導していた。 親身になり過ぎたのかもしれない……。 あとになって、シュー教授...

  • 月のライン 1-1
    2020/12/29 10:34
    月のライン 1-1

      フェリーに乗って30分、本土から16キロと、さほど離れていないその島は、観光地として人気があった。 島、といっても南の楽園ではなくて、船が上陸する港には、たしょう砂浜がある程度で、島を支える地面には、そのほとんどに硬い石畳が敷き詰められていた。 上に建つのは、中世の面影を残した建物。 太い木枠が入り交じり、みな同じような朱色の屋根に、白い壁。 花を飾った出窓に揺れる、レースのカーテン。 ドアには飾...

  • 回る円盤
    2020/12/28 11:05
    回る円盤

      その時、少年はまだ言葉も知らぬ赤ちゃんだった。 母と、ベビーカーに乗せられて、連れ出された散歩の途中で、少年はあるものに目が釘付けとなった。 ベビーカーから見上げたその先に、くるくると回る円盤があった。 なぜ円盤があるのか、なぜくるくると回っているのか、しかし少年は0歳だったので、母親に尋ねようとしても、ただ「あー!」としか言えないのであった。 円盤は回る。 ただくるくると、その場で回り続ける...

  • わたる君の日記帳
    2020/12/27 09:47
    わたる君の日記帳

      ある日の放課後、わたる君は横断歩道の向こうから、一人のおじさんが歩いてきて、話しかけられた。「やぁ、やっと会えたな」「おじさんだれ?」 わたる君はおじさんの顔を見た。 どこか自分と似たような目をしている。「親戚の人?」「とりあえず止まって話さないか?」「えっ、横断歩道だよ。信号が赤に変わっちゃうよ」 わたる君が足を進めようとするが、おじさんはわたる君の腕を、がっしり掴んで放さなかった。「助けて...

  • 不思議な絵
    2020/12/26 10:48
    不思議な絵

      美術部のあいちゃんは、ある日先生から、有名な画家の絵を見せられた。「この人はきみたちと同い年の青年だ。なのに、こんなにリアルな絵を描いている。参考にしなさい」 その画家の名前は、こうくんといった。 特に、人物画がうまかった。 今、個展を開いていて、世界中を回っているらしい。 もうすぐ日本にも来日する予定だった。 あいちゃんも会いに行こうと決めた。 ある日、TVの取材で、こうくんの新作が発表され...

  • 輪廻転生
    2020/12/20 11:06
    輪廻転生

      いつも同じ夢を見る。 女の子が話しかける。「あなたの寿命の一年を、私にくれると約束したら、好きなものをあなたにあげるわ」「あげるさ」 と、その男は言う。 どうせ夢の中の話だ。 現実には関係のないこと……。 翌日、男は好きなものを手に入れる。 そしてまた夢を見る。「今度は何くれる?」 男は女の子に、寿命を一年分ずつ渡しながら、欲しいものを手にする。 そのうち、夢の中の女の子が成長し、大きくなる。「...

  • シャツ
    2020/12/19 08:56
    シャツ

      シャツは、「自分はどうしてこんな人に着られているんだろう」と、納得がいきませんでした。 シャツは、ショーウィンドーのマネキンに着られているのが、一番でした。 華やいだ人通りから、たくさんの視線を集めていたのですから。 今、シャツは試着室にいます。 おばさんに着られて、鏡と向き合わされているのです。 ちょっと太いおばさんは、シャツのボタンを引きちぎりそうです。 シャツは、ショーウィンドーに早く帰...

  • 3人の宇宙人
    2020/12/13 09:56
    3人の宇宙人

      高度な文明の発達した星から、3人の宇宙人が地球に来た。 地球人は友好をはかるため、手厚くもてなすことにした。 まず、長旅で疲れていると思ったので、マッサージを受けさせた。 すると宇宙人はこう言った。「なんてことだ、凶暴な地球人め。こんなに体をつねられて、憤慨だ!」 今まで高度な星にいて、重力も軽いせいか、体が凝ることもなかったのだ。 次に、仕方がないのでお灸士に来てもらい、お灸で和んでもらおう...

  • なぞの声
    2020/12/12 09:56
    なぞの声

      新人の宇宙警察官は、一台の宇宙船に乗って、宇宙をパトロール中だった。 彼はまだ新人なので、早く手柄を取りたいと常々思っていた。 近々昇級試験があると聞いていたが、いつのことになるか、まだ未定だった。 だから日頃から手を抜かずに、訓練しておかなければならない。 今日も自ら宇宙船に乗り込んで、危険な異物などないか、パトロールに精を出していたのだ。 宇宙には、地球から出たさまざまなゴミが漂っている。...

  • ダイブ
    2020/12/06 08:54
    ダイブ

      おれは大きく息を吸い込み、潜った。 これはおれ自身の戦いだ。 もうこれ以上潜れないところまで、潜った。 こんなに潜ったのは初めてだ。 息が苦しい。 肺が圧迫され、頭に血の気が回ってくる。 く、くるしい……。 しかしやらねばならんのだ。 おれは負けない。 負けないぞ! このままの状態を維持することに、全神経を集中させた。 何秒耐えれるか、数を数える。 おお! 新記録だ!! ついにやった。 おれはや...

  • 天国と地獄の狭間で
    2020/12/05 08:50
    天国と地獄の狭間で

      ここは天国と地獄の狭間。 死んだ人間が天国へ行くか地獄へ行くか、生前の行いの善し悪しで、審判人に判断されるのだ。 どうやら俺は死んだらしい。 56歳という若さで死ぬなんて、俺にはまだやり残した仕事があるというのに、病気には勝てなかったか。 俺はある大きな企業の社長で、信用も厚かった。 しかしその分、多大な責任と負担がそこにはあった。 俺は皆のために、そして家族のために、必死で働いた。 無理をしす...

  • 教えてくれ
    2020/11/29 10:56
    教えてくれ

      ある日私は、通り行く人たちが、私のことをじっと見ていることに気づいた。 それはまるで、何か得体の知れないものでも見るかのように、恐ろしそうに、脅えていた。 ふと視線が合うと、すぐに目を逸らすのだ。 子供たちは私を指差して驚き、笑い出す子もいた。 私は何だか不気味に思った。 私の顔に何かついているのだろうか、そう思い、不意に取り出した鏡を見てみたが、いつもと変わらない姿がそこにはあった。 どこへ...

  • ヒーローの敵
    2020/11/28 09:45
    ヒーローの敵

      宇宙から、変な敵が降ってくるようになって、早一年。 でも大丈夫。 地球には強い味方、「イズミくん」というヒーローがいたのです! 今日も人々は、宇宙からやってくる、謎の宇宙人に襲われていました。 宇宙人は、そこらへんに生えている木を投げ飛ばし、ビルを破壊し、手あたりしだいに食器を投げたりするのです。 とても危ないので、見てられません。 人々はいっせいに口をそろえて、「助けてー! イズミくーん!」...

  • かくれんぼ
    2020/11/23 09:20
    かくれんぼ

      私たちは、かくれんぼをして遊んだ。 体の小さな者は、すぐに見つかった。 そして、大きな者に食べられたりもした。 体の大きな者は、あまり隠れられる場所がない。 私もそのうちの一人だった。 周りを見回してみても、私より大きな木は生えていない。 私が一歩前へ進むと、大きな地響きが起きる。 おそらく私は、地球上始まって以来、この世で最も大きな存在であろう。 そう、私は恐竜。 私は大変よく目立った。 遠...

  • 人生の散髪屋
    2020/11/22 10:40
    人生の散髪屋

      ――この散髪屋でカットすると、まったく違う自分になれる―― 最近、彼氏に振られたデコちゃんは、外見から変わりたいと思い、その散髪屋へ入った。 古ぼけた建物はこじんまりとして、店内の鏡も錆びついていた。 何か怪しいな、とは思うものの、デコちゃんは店の主人に、自分のなりたい髪型を口で伝えた。 主人は50歳くらいのおじさんで、頭が寂しい。 デコちゃんの髪の毛をしばらく見つめて、「本当にいいんだね?」と確認...

  • スランプの怪物
    2020/11/21 09:32
    スランプの怪物

      あるところにSF作家がいた。 彼はスランプに陥っていた。 そんな中、突然彼の前に、大きな怪物が現れた。「な、なんだお前は!!」「俺はあんたの産物さ」 と怪物は言った。「あんたが困った時に、あんたの脳みそを通して出てくる仕組みになっている。言ってみりゃ、俺を喋らせているのは、あんたの考えによるってもんだよ」「そんな、まさか、信じられない……」 作家は困って、近くの人に呼びかけた。「誰か、この怪物が...

  • 平凡
    2020/11/21 09:30
    平凡

      俺は退屈していた。 特に頭が良いでも悪いでもないし、ルックスだって良くも悪くもない。 特別運動神経にすぐれているというわけでもなく、いわゆるどこにでもいるような、いたって普通のつまらない人間である。 そんなつまらない人間は、やっぱり大きくも小さくもない中小企業の事務員として入社して、早くも3年の月日が経とうとしていた。 毎日の仕事といえば、上司から言われたことを地道にこなし、時には電話でのクレ...

  • ドッキリ大作戦!
    2020/11/15 10:39
    ドッキリ大作戦!

      お笑いピン芸人の鈴木は、最近、悩んでいた。 自分のギャグがヒットしなくなったのだ。 しかも、新人の芸人がどんどん出てくる。 若手に客を持っていかれ、TV出演もほとんどなくなってしまった。 最近では、山田とかいう二十歳そこそこのピン芸人が、ブームらしい。 お笑いのくせにルックスもよく、女子のファンも多い。 下積み時代も浅く、芸歴十年の鈴木にとっては、とんでもない強敵となった。 バラエティ番組のプ...

  • 脱獄
    2020/11/14 09:30
    脱獄

      目が覚めると、いつの間にか新人がやってきていた。「やぁ、おはよう。初めまして」「初めまして。ところで……ここはどこだい?」「ここは監獄だよ。入れられた者は、二度と外には出られない」「そんなぁ……」「ほら、あそこに机と椅子が見えるだろう? 看守がいてね、そいつが夜になると、決まってそこに座るんだ。そして僕らを、オリごしに眺める。何か、晩ご飯を持参してくるよ」「僕たちのご飯はいつだい?」「何のん気なこ...

  • ローズマリーの詩〈終章〉 ふたりの門出に贈る歌
    2020/11/11 23:38
    ローズマリーの詩〈終章〉 ふたりの門出に贈る歌

     連載   ローズマリーの詩   38 あの歌に送られて破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。聡史と私の門出を祝うパーティ。祝宴の最後にスピーチに立った哲司おじが選んだのは、あの曲、『七つの水仙』だった。その曲に涙をぬぐったあの

  • ランナー
    2020/11/08 09:53
    ランナー

      私は走ることが好きだ。 走り続けることで、生きていることを実感できる。 とりわけ、雨の日が好きだ。 体を潤おし、乾いた心に染み渡る。 だから私は、雨の日でも走る。 ある日、私は、友達と賭けをした。 私がよく走るので、一年のうちに、この世界を一周できるか、賭けようというのだ。 体力には自信があったので、私はこれから一年間、走ってきて、必ず戻ると約束した。 友達は、もし私が勝ったら、豪華ディナーを...

  • 記憶を追って…
    2020/11/07 09:46
    記憶を追って…

      飲食店の片すみに、いつも一人のお爺さんが座っていた。 店の店長は、もうその光景にはすっかり慣れていたので、毎日お爺さんに、料理を多めに出していた。常連客へのサービスだ。 店長は、手が暇になると、お爺さんの側へ行き、他愛もない会話を楽しむ。 毎日そうしているうちに、お爺さんは、自分の身の上話を語り始めた。 それによると、こうだ。 お爺さんは絵描きだった。 手にスケッチブックを持って、外を散歩する...

  • UFO研究家
    2020/11/03 10:55
    UFO研究家

      UFO研究家の博士は、頑固な性格で有名だった。 人々の誰もが「ありもしない」と、UFOや宇宙人の存在を否定しても、博士だけは「存在する!」と言い張っていた。 博士は若い頃から、UFOが空から降りてきて、宇宙人が自分と握手する光景を、何度も夢に見ていた。 宇宙人が悪者であるわけがないと、博士は思っていた。 宇宙人は友好を築く為、いつの日か必ず地球にやってきてくれる、と信じて疑わなかった。 博士は...

  • moth
    2020/11/03 10:52
    moth

      子は、小さな頃から母に聞いていた。 私たちは、光の方向へ進んで生きているの。 光がなくては生きられないのよ。 子は最近、強烈な光を見つけ、何度もそこへ向かおうと考えていた。 でもね……と母。 強すぎる光は、その分刺激的よ。 でも、命を落としてもしまうのよ。 あなたの父は、光に長く当たりすぎたのね。 最後にはビリビリになって、体を溶かしてしまったのよ。 子は疑問に思う。 ぼくらは、光を夢見ることを...

  • さわやか病院
    2020/11/01 11:11
    さわやか病院

      ――その病院から出てきた者は、皆さわやかになる―― 最近鬱ぎみのしー君は、その宣伝に惹かれて、さわやか病院に行くことにした。 精神科の先生が、いい腕なのだろうか。 しー君は病院内に足を入れた。 その瞬間、この世とは思えないほどの、異臭がした。 なんだか照明も薄暗く、壁のあちこちに、血の痕のような飛び散りが見える。「本当にこんなところで、さわやかになれるのだろうか……」 しー君は戸惑いながら、とにかく...

  • 天使
    2020/10/31 10:34
    天使

      あるところに、ひとりのおじいさんがいました。 おじいさんは、どこにでもいる普通のおじいさんです。 そのおじいさんは、そこに住んでいたのではありません。 ただ、そこにいただけでした。 どこにでもいるそのおじいさんに、白羽の矢が立ったのは、単なる偶然でした。 天の国で天使を務めているビーちゃんは、「次の天国人を決めなさい」と、大天使様に言われ、地上に降りて、そのおじいさんに狙いをつけたのでした。 ...

  • 尾探しヘビー
    2020/10/25 10:22
    尾探しヘビー

      大きなヘビが現れた。 地面の中から現れた。 はじめ、体長2メートル程だったが、動物園のオリの中で、徐々に伸びだした。 すぐ、オリはいっぱいになり、ヘビは別の場所に移されることとなった。 郵送トラックに詰まれたケージ内で、ヘビは頭に麻袋を被せられ、自分がどこへゆくのか分からないまま、静かな眠りについていた。 寝る子はよく育った。 運転手がケージを見た時、ケージははち切れんばかりに歪み、ヘビの皮膚...

  • 予言者
    2020/10/24 10:43
    予言者

      その国は昔から、幾度の争いにも勝利し、長らく繁栄を保ってきた。 国王の裏には、偉大な力を持つとされる予言者が一人いて、どうすれば他の国に負けず、大国を維持できるか、国王に指示しているという。 国王は自分では何もせず、すべてはその予言者の指示にかかっている。 そうと知った他国の軍が、予言者をさらってしまおうと考えた。 しかし、考えただけで、その意思は予言者の脳裏に行き届いてしまう。 これにより、...

  • 新世界
    2020/10/24 10:41
    新世界

      人間は多くの争いにまみれ、絶滅品種になりました。 そこで、新世界を築いていたロボットたちにより、最後の一人を保護することになったのです。 彼は人類最後の貴重な一人で、名前も「ヒト」とされました。 その頃、ロボットたちにはすでに人工知能・AIが埋め込まれており、新世界と呼ばれるこの地球を、自らの意思で管理し、新たな発展へと成り立たせていたのです。 人間以上の知恵を持っていましたから、ロボットたち...

  • ダイエット
    2020/10/18 11:14
    ダイエット

      彼女は人には言えないが、体重が80キロあった。 何度も痩せようとダイエットを試みたが、その度にリバウンド。少し痩せると、油断して食べてしまうのがいけなかった。 ある朝、新聞に挟まれていた広告チラシを目にして、彼女は、もうこれしかない、と決意した。 チラシを持って訪れたのは、ある合宿所。 ここで専門のインストラクターに、特別な運動方法からカロリー計算まで、一日中、監視されながら過ごす企画に参加した...

  • 星の丘
    2020/10/17 11:00
    星の丘

      ジョンはいつもの、なだらかな道を歩いて、小高い丘へやってきました。 今は夜。 悲しくなると、ジョンはここに来るのです。 そして、空を見上げました。 真っ暗な広い夜空に、画びょうで穴を開けたような、小さな光がありました。あっちにも、こっちにもです。 いつの日かお父さんが、あれは遠い場所にあって、決して触れない、星というものだよ、と教えてくれたことを、ジョンは思い出しました。「星」 とジョンは呼ん...

  • わんころがし
    2020/10/11 11:52
    わんころがし

      えいちゃんは、ペットのわんくんを、ヒモでつないでお散歩に出ました。 わんくんはよく「わんわん」鳴いてばかりいて、なかなか前へ歩きません。 立ち止まっては「わん」、人が通っては「わん」でした。 えいちゃんは早くお家に帰りたかったので、わんくんのヒモを引っ張りました。 するとわんくんは、ちっちゃかったのでコロコロ転がってきたのです。 それを見た人々は、えいちゃんのことを「わんころがし」のえいちゃん...

  • 宝箱
    2020/10/10 09:51
    宝箱

      その宝箱は、地中深くから見つかった。 恐竜の骨を発掘している人が、発見したのだった。 かなり大昔のものと思われた。 しかし、どこにも傷はなく、真四角で、開け口もない箱だった。 何の物質でできているのか分からない。ただ木ではなく、鉄でもなく、プラスチックでもなかった。 でも振ってみると、中でコロコロ、音が鳴り、何かの入れ物だと検討されて、それは宝箱と呼ばれるようになった。 まず、X線レントゲンを...

  • 伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい
    2020/10/08 17:18
    伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい

    明日、わたしは顔も知らないおじさまと結婚するために旅立つ。だから——。伯爵令嬢のシャーロット・グレイは部屋の窓をそっと開いた。その向こうには雲ひとつない抜けるような青空が広がっている。降りそそぐ光はとてもまぶしい。きっと雨にはならないだろう。どうか今日だけは晴れますようにと天に祈った甲斐があった。準備は万端だ。この時間なら庭に使用人がいないことも確認済みだし、屋敷内から目につかない経路も調査した。今日はひとりで過ごしたいからそっとしておいて、と両親や侍女に頼むことも忘れていない。ひとつ深呼吸をして靴を履いたまま窓枠に立つと、向かいの木に飛び移り、すぐさま軽い身のこなしで音もなく庭に降りた。動きやすさを優先した簡素なドレスなのでそう難しくはない。ごめんなさい、最後のわがままを許して——。誰にも見咎められることなく...伯爵家の箱入り娘は婚儀のまえに逃亡したい

  • 顔
    2020/10/04 09:28

      神様は人間を創りました。 人間をたくさん創るにあたって、一人ずつを区別できるようにと、顔をそれぞれ変えました。 しかし、これも長いことやっていると、レパートリーがなくなりました。 一人につき二人の両親がいるのですから、彼らを合わせた顔にするとよいことに気づきました。二番目に産まれた子は、さらに一部分を変えればいいわけです。 そしてしばらく、神様は創作が楽になりました。 しかし、ついにネタがつき...

  • コード
    2020/10/04 09:24
    コード

      ある日私は、自分の背中からコードが出ていることに気づいた。 背中を鏡で見てみると、テープや接着剤で引っ付いている様子はなく、じかに生えているといった感じだ。毛のように。 私はコードの先にあるべきものを探した。すなわちプラグだ。コードがあるなら、あるはずだ。 しかしコードはただ垂れて、地面に伸びているだけで、その先は見えなかった。 コードは延々と、どこまでも伸びていた。 私は記憶を辿ったが、思い...

  • ひよこ触れ合いデー
    2020/10/03 09:11
    ひよこ触れ合いデー

     「ねぇ、お母さん」「なぁに、ぴよちゃん」「またあのおじさんが来て、わたしを連れてゆくのよ」「そうね。でもぴよちゃんだけじゃないでしょ、みんなもでしょ?」「うん、そう。たくさんのぴよを、大きなサクに入れて、それからたくさんの子供たちが来て、追いかけるの」「それはぴよちゃんたちがカワイイからよ」「でもとっても怖いよう。お母さん、今日はサクの側にいて、ぴよちゃんたちを見ててね」「わかった、わかった。あ...

  • 避難用シェルター
    2020/09/27 10:36
    避難用シェルター

      お金持ちのゴールドさんは、いざという時のために、避難用シェルターを購入しておこうと思いました。 どんな災害が起こっても、命を守れる、性能のよいものです。 そこで、シェルターや地下室など開発している会社へ直々に向かいました。 若い営業マンがスーツを着て、商品の展示室へ案内してくれました。 そこには数々の長方形のハコが置いてありました。 研究員らしき白衣の男がゴールドさんに近づいて、ハコについて教...

  • 最短記録
    2020/09/26 09:33
    最短記録

     「お集まりの皆様、こんにちは。今回は、全世界の各代表者が、お互い競い合うシステムで賞金を勝ち取る、というルールでございます」 司会者のような男が、一本のマイクを持って告げた。 彼を囲むように、世界中から集まった、さまざまな人種の者たちが、輪になって座っていた。「まずは、日本からお越しのタロウさん」 と司会者が言って、タロウと呼ばれた男にマイクを渡した。 タロウは椅子から立ち上がり、マイクで話し始...

  • ローズマリーの詩〈37〉 若い旅立ちと老いた再会
    2020/09/22 23:19
    ローズマリーの詩〈37〉 若い旅立ちと老いた再会

     連載   ローズマリーの詩   37 小さな宴の陰で…破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。エジプトに赴任が決まった聡史と私は、結婚式を挙げ、小さな宴を挙げることになった。聡史が赴任中、私は、千里さんの部屋で子育てしながら彼の

  • 医者のしたこと
    2020/09/22 10:30
    医者のしたこと

      宇宙飛行士たちはスペースシャトルに、この世で最も優秀な医師を、ともに連れてゆくことにした。 どんな病気も治せるという、知識の深い医者だ。 そこで、候補の中から選び抜かれた一人の医師がいた。 若いし体も丈夫な男だった。 この男はまず、宇宙の環境に耐えぬく訓練を受けた。 そしてそれ以外にも、通信の手段や、さまざまなシャトル内の対応方法を学んだ。 宇宙飛行士たちは、彼となら、と安心して宇宙へ飛び立つ...

  • 地底探索団
    2020/09/21 09:18
    地底探索団

     「わー!」「うわーいたい」「重い、足踏んでるよ!」「あ、ごめん」「いったい何が起こったんだ? 突然真っ暗になるなんて」「どうやら、地面が落っこちたらしい」「そんなぁ。ここはオレたちの敷地内だぞ」「そうだけど、もしかしたら他のグループも、この陣地に攻め込んできているかもしれないっていうことだ」「こんな立派な落とし穴作って!」「オレたちより腕は上だ。油断するな」「よし、こんなところにいてもしょうがな...

  • ダイヤモンドマン
    2020/09/21 09:14
    ダイヤモンドマン

      大富豪の自己満足で、全身ダイヤでできた人形が作られました。 身長1メートルほどです。 ダイヤモンドマンと呼ばれ、大富豪は常に持ち歩きました。 ダイヤモンドマンは精妙に作られていて、心を持ち合わせていましたので、自分を大切にしてくれる大富豪のことを大好きになりました。 ある時、ダイヤモンドマンが自分があまりにも輝いていて眩しいので、大富豪の側でご主人の顔を見つめておりますと、大富豪はそれに気づい...

  • 最有力候補
    2020/09/20 09:15
    最有力候補

     「今回、全世界中で、お米に合うものは何か、という議論が起きました。最も自分が合うと立候補される皆さんは、前へ進み出てください」 裁判官のような、低い声が言いました。 するとすぐあとから「それはわたしだ」とか「いや、おれだ」という勢いのある声が飛び交いました。「まぁ、静粛に」 と裁判官は落ち着いて言います。「まず、一人ずつ、自信がある者から前へどうぞ」「ではわたくしが」 真っ赤な顔のうめぼしでした...

  • おまめのぼうけん
    2020/09/19 09:42
    おまめのぼうけん

      おまめは大きな木の下で生まれました。 まだ芽が出ないうちに、もっと景色のいいところへ根付くことに決めましたので、転がりながら移動をし始めました。 草むらに入ったところで、水溜りにはまりました。「ああ、もう風が吹くまで出られないぞ」 とおまめはしくしく泣きました。 そよ風じゃおまめの体を転がせません。 もっと強い突風でもない限りは。 さて、おまめは水溜りの中でしばらく泣いて待っておりますと、水溜...

  • ぺんぺんとらっかせい
    2020/09/18 10:29
    ぺんぺんとらっかせい

     「やあ! ペンギン」「あぁ、らっかせいくんか」「きみ、ペンギンのぺんぺんくんでしょー?」「そうだよ。ぼくはぺんぺんくんだよ。きみは?」「ぼくは、らっかせいのらっかせいさ」「うん、そうだね。ところで、何か用なの?」「ううん。もうさむくなったから、きみが現れると思ってね。待ってただけさ」「そう、ぼく、さむくなったら出番がくるんだよ。それまでは、氷のあるところにいるんだけどね」「もう出ていいんだろ? ...

  • ローズマリーの詩〈36〉 母子像に刻まれた秘密
    2020/07/31 15:43
    ローズマリーの詩〈36〉 母子像に刻まれた秘密

     連載   ローズマリーの詩   36 母子像に刻まれた秘密破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。子どもを産み、育てながら彼を待つのなら、部屋を提供すると言う千里さん。私は聡史とおじをその部屋におじは、そこで、あの母子像を見つけ

  • 「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・恋ではなかったはずなのに
    2020/07/22 15:13
    「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・恋ではなかったはずなのに

    「武蔵が好きなんだ。だから、僕とつきあってほしい」まさか七海から恋心を告白される日がくるなんて、夢にも思わなかった。武蔵にとって彼女は恩人の娘である。その恩人が自分のせいで亡くなったことに責任を感じ、天涯孤独となった彼女と一年半ほど一緒に暮らしたが、そのときはまだプレティーンの子供だったのだ。あれから三年半が過ぎ、再会した彼女は十六歳の女子高生になっていた。見た目はそれなりに女性らしく成長したものの、口を開けばあのころのままで、そのせいか不思議と認識が変わることはなかった。「悪いが、おまえのことを恋愛対象として見たことなくて」「そんなのわかってるよ。これからそう見てくれないかなって話」「…………」そう言われても、冷静に考えてつきあうべきではないだろう。彼女とは親子ほど年が離れているし、何より武蔵はまだこの国に認...「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・恋ではなかったはずなのに

  • ローズマリーの詩〈35〉 キミよ、死ぬな!
    2020/06/23 15:08
    ローズマリーの詩〈35〉 キミよ、死ぬな!

     連載   ローズマリーの詩   35 贈る言葉は「死ぬな!」破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。『七つの水仙』を聞かせてほしい。一緒に訪ねた「千の里」で、聡史が突然、口にしたリクエスト。しかし、そこには、つま弾くギターはない

  • 「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・義理の兄の初恋 1
    2020/06/11 23:08
    「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・義理の兄の初恋 1

    「乾杯」誠一は用意されたペアのグラスにシャンパンを注ぐと、二人掛けの応接ソファに並んで座っている澪と乾杯して、軽く口をつけた。なめらかな泡がはじけて芳醇な香りが鼻に抜けていく。澪もグラスから口を離すと感じ入ったように息をつき、背もたれに身を預けた。「たまには実家でのんびりするのもいいよねぇ。ごちそうにシャンパンにおつまみに至れり尽くせり。あ、でも誠一はあんまり落ち着けない?」「いや、十分くつろいでるよ」誠一はグラスを手にしたまま軽く笑って答える。それはまぎれもない本心だった。新年ということで、誠一たち夫婦はそろって澪の実家である橘邸に来ていた。中流階級で育った誠一からすると信じがたいほどの豪邸ではあるが、結婚前からよく滞在させてもらっていたので慣れているし、今回は一族の集まりがないこともあって気楽なものだった。...「機械仕掛けのカンパネラ」番外編・義理の兄の初恋1

  • 住宅の「庭」
    2020/05/30 16:28
    住宅の「庭」

    挿話 C (Ⅱ) 初任地の 海辺の小さな町の教員住宅には、 広い庭があった。 裏庭の真ん中には、 前任者が置いて行った 大きなコンポスト容器があり、 中から草が生えていた。 紫陽花の木がいくつか植えてあり、 季節には、たくさんの花が咲いた。 隅には茗荷が生えていた。 ガーデ...

  • 初任の地
    2020/05/30 16:28
    初任の地

    挿話 C(Ⅰ) 特急の右手の窓に、 寒々とした翡翠色の海が見え始めた。 私は22歳になったばかり。 紺色のスーツの上に、 紺色のオーバーコートを着て、 名前は知っているけれど、 まだ訪れたことはない 県境の町へと向かっていた。 その3日ほど前に、 学校長から電話があり、 初...

  • 「オレの愛しい王子様」番外編 この感情に名前はつけない
    2020/05/17 22:44
    「オレの愛しい王子様」番外編 この感情に名前はつけない

    東條圭吾は後方の扉から大講義室に入った。試験だからか、始業十五分前なのにすでにちらほらと席が埋まっている。圭吾も階段状の通路を降りてやや前寄りの長椅子に座った。席は決まっていないが普段から何となくこのあたりなのだ。さて、と——。前回からちょうど三週間。試験も今日で終わる。だから次はこの日にしようと前々から決めていた。メッセンジャーバッグを机に置いてスマートフォンを手にとると、お決まりのメッセージを打ち込み、こころなしか緊張しつつ送信ボタンをタップする。東條圭吾:今日よかったら来ないか?向こうもちょうどスマートフォンを見ていたのか、それが画面に表示されるとすぐに既読がついて、返事が来た。諫早創真:5時半まででいいなら東條圭吾:了解。ケーキ用意しとく諫早創真:今日はオレが買ってくよ東條圭吾:わかったほっとして頬がゆ...「オレの愛しい王子様」番外編この感情に名前はつけない

  • 0コンマ4秒の線香花火
    2020/05/04 13:03
    0コンマ4秒の線香花火

    Blue あなたとわたしの本 235 「線香花火の国」に行ったことがあります。もう30年以上まえの話です。 それはただの線香花火ではなく、その花火たちは、0コンマ4秒しか発火することができないのです。そんな「線香花火の国」でした。 フード付きの白いマントの男性と並び、ガラスでできた高みにある部屋から僕は外を見ていた。僕たち以外、ほかには誰もいません。 純白の広大な敷地に、無数の線香花火が生えていました。火玉が上を向いたかたちです。閃光が確かにひらめいているのですが、0コンマ4秒のことです。見えるか見えないかの一瞬で燃え尽きてしまいます。火が消えてしまうとそれが下がり、同じ場所からまた伸びてきま…

  • ローズマリーの詩〈34〉 「七つの水仙」をもう一度
    2020/04/25 23:35
    ローズマリーの詩〈34〉 「七つの水仙」をもう一度

     連載   ローズマリーの詩   34 おじと聡史と私と彼女破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。聡史との結婚を決意した私と家を出る決意を固めたおじ。しかし、結婚に反対する母は、なかなか聡史と会おうとしない。私は聡史を連れて、「

  • 「オレの愛しい王子様」番外編 ルームシェア
    2020/04/16 00:08
    「オレの愛しい王子様」番外編 ルームシェア

    「大学生になったら二人で住もう」始まりは、翼がさらりと口にしたそのひとことだった。隣を歩いていた創真は、思わず「えっ?」と聞き返しながら振り向いた。にわかには理解できなかったというか、信じられなかったのだ。けれども翼は至極当然のように言葉を継ぐ。「いずれ結婚するんだから構わないだろう」「いや、家からでも通えるのに何でわざわざ」「僕は早くあの家を出たいんだよ」「ああ……」尊敬していた父親のひどく不適切な過去が明らかになったり、後継者として育てられていながら次期後継者に指名されなかったり、次期後継者に指名されたのが折り合いの悪い桔梗だったりで、翼が居づらさを感じるのはわかる気がした。「じゃあ親に訊いてみる」一応、お伺いは立てるが、放任主義の両親が反対することはおそらくないだろう。むしろ自立への第一歩として歓迎しそう...「オレの愛しい王子様」番外編ルームシェア

  • 公式ブログの更新スケジュールを変更します。
    2020/04/11 00:27
    公式ブログの更新スケジュールを変更します。

    紅龍堂のHPをご愛読頂き、誠にありがとうございます。実は昨日で、ブログを始めてから100日が経ちました。100日間は何があっても続けると決めていました。ワニくんが亡くなっても、コロナウイルスで世界がパンデミックに陥っても、自民党が改憲に狂っても、毎日、平常運行で書いてきました。でも毎日更新は、今日でやめます。理由は……

  • ありがとうございます、FAQページを更新しました!
    2020/03/31 22:01
    ありがとうございます、FAQページを更新しました!

    特別なお報せは、火曜日と決めています。紅い龍が「火」を噴く曜日――せめて語呂を掛ければ、覚えて頂けるかしらと試行錯誤したのは3ヵ月前。あの時は、まだHPの訪問者さんはゼロでした。こんな辺境の小さな、所在すら怪しい書店の扉を、叩いて下さるあなたがいる。奇跡のようなことだと思っています。本当に、本当にありがとうございます。

  • ローズマリーの詩〈33〉 産まない反逆、産む反体制
    2020/03/15 20:02
    ローズマリーの詩〈33〉 産まない反逆、産む反体制

     連載   ローズマリーの詩   33 産まない反逆、産む反体制破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。体制に取り込まれることがイヤで、「子どもは嫌いだ」と口にしたことを後悔しているおじ。一方、聡史は、反体制を貫くために「子どもが

  • 「オレの愛しい王子様」第22話 未来への通過点(最終話)
    2020/03/15 00:05
    「オレの愛しい王子様」第22話 未来への通過点(最終話)

    「いらっしゃい、諫早くん」チャイムを押すなり待ち構えていたかのように玄関の扉が開き、東條が出迎える。七分袖のカットソーにデニムパンツというカジュアルな格好だ。創真が汗だくなことに気付いてかハハッと笑う。「上がれよ。部屋はだいぶ涼しくしてあるぞ」「おじゃまします」彼がひとり暮らしをしているこのマンションには、すでに何度も来ているのでいまさら遠慮はない。それでも律儀に挨拶してから、創真は馴染んだスニーカーを脱いで部屋に上がった。「……鍋?」ワンルームにしては広めの部屋に入ると、奥の座卓に鍋料理らしきものが用意されているのが見てとれた。中身まではわからないが、カセットコンロにかけられた土鍋からは湯気が立ち上っている。「冷房をガンガンにかけて食うと美味いんだ」「ああ、いいかもな」まだ九月なので驚いたが、彼の言うとおり部...「オレの愛しい王子様」第22話未来への通過点(最終話)

  • 新作『王の庭師』、ヴィッセン語版翻訳中
    2020/02/29 00:02
    新作『王の庭師』、ヴィッセン語版翻訳中

    予定よりだいぶ早いのですが、新作情報を出しました。現状、トップページにタイトルを打っただけなのですが……自粛ムードが漂う中で、何か一つでも楽しみが増えればと。

  • 一ヵ月です!
    2020/02/25 22:28
    一ヵ月です!

    早いもので、紅龍堂書店の公式HPオープンから今日で一ヵ月が経ちました! 右も左も分からないところからのスタートでしたが、今日まで粘り強く続けて来られたのは、ひとえに支えて下さった皆さまのおかげです。ありがとうございます。

  • 霞始靆(かすみはじめてたなびく)
    2020/02/24 19:57
    霞始靆(かすみはじめてたなびく)

    霞(かすみ)と霧(きり)の違い、ご存知ですか? 気象学的には視程1キロ以下のものが霧、それよりもさらに薄いものが霞。季語としては、春が霞、秋が霧。言葉の使い方としては、霧は「立ちのぼる」、霞は「たなびく」。霧には夜霧という呼び方がありますが、夜の霞は名称自体が変化します。「朧(おぼろ)」と。

  • 浮造り(うづくり)の床です。
    2020/02/23 21:34
    浮造り(うづくり)の床です。

    「杉ってめちゃくちゃ柔らかいから、普通はフローリングには使えないのよ。すぐ傷がついちゃうし、それこそ猫ちゃんなんて爪を研ぎかねないから。でも浮造りは別。材の表面を特別な機械で何度も摩擦することで、柔らかい部位を凹まして、硬い部位だけを表面に残す加工なの。木目も浮かび上がって綺麗でしょう?」

  • 紅龍堂書店、マンションを借ります……?
    2020/02/22 22:24
    紅龍堂書店、マンションを借ります……?

    【注】この扉を見つけてしまった誰かへ。フィクションと現実を混同してはいけません。いいですか? 絶対にダメですからね? ――コホン。幻想出版・紅龍堂書店へようこそ。私たちはずっと昔から、あなたをお待ち申し上げておりました。

  • ローズマリーの詩〈32〉 「結婚宣言」と「家出宣言」
    2020/02/19 20:30
    ローズマリーの詩〈32〉 「結婚宣言」と「家出宣言」

     連載   ローズマリーの詩   32 「結婚宣言」と「家出宣言」破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。「結婚しよう、いますぐ!」私が妊娠を告げると、聡史はそう言って私の手をとった。「そんなふしだらな……」と、気色ばむ母に、おじ

  • 鍵の落としもの
    2020/02/13 17:59
    鍵の落としもの

    困った出来事がありました。紅龍堂書店の玄関先に、見慣れない鍵が落ちていたのです。最初、旅人さんのバイクの鍵かしらとお尋ねしたのですが、「いいえ、私のバイクに鍵は無――くしたら大変なのでいつも財布に入れています」となると、白菜を置いていってくださったおばあちゃんでしょうか。この謎を解くヒントは……

  • 旅人さんが怪しいです。
    2020/02/10 20:41
    旅人さんが怪しいです。

    こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。旅人さんが玄関先で、バイクのメンテナンスをしていました。旅人さんは不思議な人です。

  • 「オレの愛しい王子様」第21話 プロポーズ
    2020/02/09 22:04
    「オレの愛しい王子様」第21話 プロポーズ

    「え……桔梗さん……?」創真は扉のところで立ちつくしたまま、目を瞬かせる。執事に案内されて入室した西園寺家当主の書斎に、なぜか桔梗がいたのだ。彼女は流れるような所作で応接ソファから立ち上がり、会釈する。創真も怪訝に思いながらつられるように頭を下げた。「桔梗にも関係する話なのでな」「あ、はい……」奥の執務机にいた徹は、創真のつぶやきにさらりと答えて腰を上げた。この面会は翼が執事を通して取り付けてくれたのだが、その際に婚約に関する話だと説明していた。だから当事者である桔梗を呼んだのかもしれないが、創真としては完全に想定外である。もちろん彼女にもあとできちんと話をするつもりではいたが、いまはまだ心の準備ができていない。徹に報告するためにようやく気持ちを整えたばかりだったのに、また乱れてしまった。「そちらにお掛けなさい...「オレの愛しい王子様」第21話プロポーズ

  • 付喪神(つくもがみ)
    2020/02/05 19:39
    付喪神(つくもがみ)

    こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。た、大変なことが起きていました。私が伏せっている間に、大家さんが紅龍堂書店の内装工事を依頼したそうです。

  • 東風解凍(はるかぜこおりをとく)
    2020/02/04 19:44
    東風解凍(はるかぜこおりをとく)

    こんにちは、紅龍堂書店(くりゅうどうしょてん)の久利生杏奈(くりゅうあんな)です。立春ですね!皆さん、豆はちゃんと拾い尽くして一粒残さず召し上がりましたか? 召し上がりましたね? ふふ、素晴らしいです。

  • 杏奈の容態など。遠江(とおとうみ)の代筆です。
    2020/01/29 22:19
    杏奈の容態など。遠江(とおとうみ)の代筆です。

    こんばんは。景康の友人、遠江(とおとうみ)と申します。表題の件で恐れ入ります。twitterでは急ぎご報告させて頂いたのですが、昨日、杏奈が逆流性食道炎で倒れました。幸い点滴を受けたら容態も落ち着いて、今はもう家に帰って眠っています。ご安心ください。

  • 「オレの愛しい王子様」第20話 ともに時を刻みたい
    2020/01/24 00:10
    「オレの愛しい王子様」第20話 ともに時を刻みたい

    「十六歳の誕生日おめでとう」あらたまって口にするのはすこし照れくさいが、それでも創真はしっかりと目を合わせてそう告げて、洋菓子店のロゴが描かれた白い紙袋を差し出す。「ありがとう」翼は小さく笑いながら心得たように受け取り、創真を招き入れた。翼の誕生日は、今日、四月一日である。小学生のころから、それぞれの誕生日に一緒にケーキを食べることが恒例行事となっている。今日もそのために来たのだ。このパーティーとも言いがたいふたりだけのささやかなお祝いが、創真は気に入っていた。「あら、創真くん」ケーキを使用人に託して、ふたりで翼の部屋に向かおうと二階に上がったところで、桔梗とばったり出くわした。これから出かけるのか、淡いピンク色のスプリングコートを羽織り、ショルダーバッグを肩に掛けている。「こんにちは」例の日帰り旅行以来なので...「オレの愛しい王子様」第20話ともに時を刻みたい

  • 新しい物語の翻訳を始めます。
    2020/01/20 23:55
    新しい物語の翻訳を始めます。

    取材は、翻訳に欠かせない下準備です。例えば、「頭を撫でる」という一文をとってみても、日本ならば子どもへの優しさを示す表現ですが、ヒンズー文化では侮辱になります。

  • ローズマリーの詩〈31〉 口をつぐんだ罪
    2020/01/14 22:39
    ローズマリーの詩〈31〉 口をつぐんだ罪

     連載   ローズマリーの詩   31 口をつぐんだ罪破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。アフリカに赴任する聡史の子を宿してしまった。迷った私は、千里さんの店を訪ねた。私の迷いを見抜いた千里さんが「変なこと考えてないでしょうね

  • ローズマリーの詩〈30〉 受胎告知
    2020/01/06 14:23
    ローズマリーの詩〈30〉 受胎告知

     連載   ローズマリーの詩   30 受胎告知破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。再会を果たしたおじと千里さんは、最近、よく会っているようだ。もう、『スカボロー・フェア』も歌わなくてすむらしい。しかし、私の体には、小さな変化

  • 「オレの愛しい王子様」第19話 今日一日だけは私を
    2020/01/02 23:40
    「オレの愛しい王子様」第19話 今日一日だけは私を

    「お待たせしてごめんなさい」玄関で待っていると、桔梗があわてたように階段を駆け降りてきて謝罪した。だが、待ったといってもほんの数分程度のことだし、そもそも創真がすこし早く来てしまったのがいけないのだ。いまがちょうど約束の時間くらいだろう。「いえ……」むしろ焦らせてしまったことを申し訳なく思いながら返事をすると、それだけで桔梗は安堵したように表情をゆるめた。そしてあらためて創真と目を合わせてにっこりと微笑む。「おはよう、創真くん」「おはようございます」「来てくれてよかった」「約束したので」「そうね、約束だものね」彼女は含みのある言い方をして肩をすくめると、すぐに靴を履き始めた。それを待っているあいだ、何となく視線を感じたような気がして顔を上げたところ、翼が階段の中ほどに立ったままこちらを窺っていた。目が合うとふっ...「オレの愛しい王子様」第19話今日一日だけは私を

  • ローズマリーの詩〈29〉 40年後に訊きたいこと
    2019/12/27 15:28
    ローズマリーの詩〈29〉 40年後に訊きたいこと

     連載   ローズマリーの詩   29 40年後に訊きたいこと破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。おじを千里さんの店に誘い出す少し遠めの散歩。40年ぶりに再会したかつての恋人同士は「どうして?」と声をそろえた。その「どうして?」の

  • 「オレの愛しい王子様」第18話 ホワイトデー
    2019/12/05 18:28
    「オレの愛しい王子様」第18話 ホワイトデー

    三月十四日、放課後の教室はいつもよりこころなしか賑やかだった。しかしそれも落ち着き、残っている生徒たちがだいぶ少なくなってきたころ、他クラスまで出かけていた東條が畳んだ紙袋を片手に戻ってきた。そのいかにも疲れたと言わんばかりの表情を見て、翼は軽く笑う。「お疲れ」「ああ」ホワイトデーということで律儀にも全員にお返しを用意したらしく、今日一日、東條は休み時間になるたびに方々へ渡しに行っていたのだ。放課後までかかってようやく完遂したらしい。ちなみに翼は昔からお返しはしないと公言している。それでもいいというひとからしか受け取らない。東條は今朝になって初めてその話を聞いたらしく、ずるい、俺もそうしたかったとうなだれていた。同情的なまなざしを向けていると、彼は大きく息をついて自分の席にどっかりと腰を下ろした。すぐにスクール...「オレの愛しい王子様」第18話ホワイトデー

  • スノボ旅行時にオススメの歴史小説 北方謙三「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」「チンギス記」シリーズ
    2019/12/01 16:32
    スノボ旅行時にオススメの歴史小説 北方謙三「水滸伝」「楊令伝」「岳飛伝」「チンギス記」シリーズ

    スノボに泊りがけで行った時や海外旅行に行く時など、小説を読む時間がたくさんとれるので必ず何冊か持っていくようにしています。 小説の中でも特に歴史小説が好きで、司馬遼太郎、富樫倫太郎、北沢秋などの作家のものをよく読んでいます。 その中でも一番好きな作家が、北方謙三で、「水滸伝」から繋がる「楊令伝」「岳飛伝」の三部作、最新作の「チンギス記」が最高に面白く、一気に時間が過ぎていくので長時間移動の際にもお薦めの作品です。 水滸伝 2000年ー2005年 全19巻 楊令伝 2007年ー2010年 全15巻 岳飛伝 2012年ー2016年 全17巻 シリーズ三部作 チンギス記 2018年~ 6巻 シリーズ…

  • ローズマリーの詩〈28〉遠すぎる散歩
    2019/11/28 20:38
    ローズマリーの詩〈28〉遠すぎる散歩

     連載   ローズマリーの詩   28 遠すぎる散歩破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。年が明けると、おじを散歩に誘った。少し遠出の散歩。そこが草野駅だと知ると、おじの足が固まった。私はその背中を押した。その人は、おじの顔を見

  • 「オレの愛しい王子様」第17話 バレンタインデー
    2019/11/25 18:03
    「オレの愛しい王子様」第17話 バレンタインデー

    「僕を待たせるとはいい度胸だな」翌朝、翼は西園寺邸の玄関でいたずらっぽくそう言って創真を出迎えた。まるで昨晩のことなどすっかり忘れてしまったかのように。創真は困惑するが、だからといってわざわざ蒸し返すようなことを言うのも躊躇われる。「……悪かった」「次はペナルティだぞ」「気をつける」翼はふっと笑い、いつもと変わらない颯爽とした足取りで玄関をあとにする。創真はその後ろ姿をぼんやりと目で追うが、ほどなくして我にかえり、あわてて小走りで追いかけて隣に並んだ。昨晩はいろいろぐるぐると考えをめぐらせてしまい、ほとんど眠れなかった。帰宅して母親に尋ねたところ、桔梗との結婚については実際に西園寺から話があり、許可を求められたが、どうするかは本人に任せると答えたそうだ。それで創真が呼ばれることになったのだろう。昔から両親は放任...「オレの愛しい王子様」第17話バレンタインデー

  • 90話まで更新&ネット大賞応募です。
    2019/11/22 18:39
    90話まで更新&ネット大賞応募です。

    「走る少年大開戦 ~精神、発達障害者の小学生、魔法決戦に巻き込まれる、暗黒 の力を持つ少年は魔王の体の器で共有?~」90話更新及びネット大賞応募、プラス10000PV突破しました。https://ncode.syosetu.com/n3144fj/ にほんブログ村...

  • 「オレの愛しい王子様」第16話 指名
    2019/11/17 00:32
    「オレの愛しい王子様」第16話 指名

    あれから十日が過ぎても、創真と翼の関係は何も変わっていなかった。終わらせたよ、と遊園地から帰るときに言っていたので、予定どおり綾音に告白してふられてきたのだろう。寂しそうでありながらどこかすっきりとした様子で、気持ちに一応の区切りがつけられたことが窺えた。しかしながら創真との今後についてはまだ何も話をしていない。さすがにふられてすぐには難しいだろうし、翼が自ら話したくなるまでゆっくり待とうと思っている。もう焦る理由はないのだから。「そうだ、おまえあした夜九時にうちに来られるか?」穏やかに晴れわたっているのに空気が肌を刺すように冷たい朝。いつものように翼と登校していると、校門が見えてきたあたりでふとそんなことを尋ねられた。「まあ、大丈夫だと思うけど……」やけに遅い時間だが、西園寺の家であれば親が反対することはない...「オレの愛しい王子様」第16話指名

  • ローズマリーの詩〈27〉おじさんの蹴りたい背中
    2019/11/09 10:45
    ローズマリーの詩〈27〉おじさんの蹴りたい背中

     連載   ローズマリーの詩   27 おじさんの蹴りたい背中破産して家の離れに間借りするおじと、出戻りの私。それぞれの愛の物語。子どもは嫌いだ。かつておじが発したひと言が、千里さんの部屋に置かれた聖母子像の秘密に違いない。そう推理した私は、おじの発言の真意

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