【本】小川洋子『小箱』~死に彩られ囚われた生、傷んで壊れていく愛情~
1、作品の概要 2019年に刊行された小川洋子の最新の長編小説。 書き下ろし。 2、あらすじ 「私」は元幼稚園だった建物に1人で住んでいる。 幼稚園の講堂には、子どもを亡くした親たちが想い出を納めた『小箱』が置いてあり親たちは子供達と触れ合うために幼稚園の講堂にやってくる。 この世界では、子供たちは次々と死に絶え、もう生まれてくることはない。 産院は爆弾で爆破された。 「私」は喋る声が片っ端から歌になるバリトンさんに、彼の恋人の手紙の翻訳を依頼されていた。 恋人の手紙はある日から極端に小さな文字になってしまい読み取れなくなっていた。 園庭を歩きながら、解読した手紙をバリトンさんに読み聞かせなが…